リフォーム工事には、資格も許可も届出も不要ってホント!?
リフォーム工事には資格も許可も届出も不要ってホント!?
リフォーム工事の請負には、資格や許可はおろか、届出すらも不必要なケースがあるって知っていましたか?
極端にいえば、未経験者でも、悪徳業者でも、その日のうちから開業できてしまうことも……。こうした事実を知らずに、我が身と人生を託す、終の棲家を任せてしまっても良いものでしょうか?
本当に信頼のおけるパートナー探しの秘訣と、国が是正する今後の方針について紹介します。
資格がなくてもリフォーム工事が請け負えるってホント?
住宅の新築には、設計や工事管理において、国に認められた資格が必須です。ところが、建築士法と照合すると、一般的なリフォーム工事のほとんどが適用外。資格がなくても、施工に携わっているのが現状です。
建築士法第3条は、下に列記した場合において、資格をもった建築士が必要不可欠だと規定しています。裏を返せば、条件に当てはまらない建物であれば、その資格は不要だと解釈することもできるのです。
- 「建築物を増築し、改築し、又は建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をする場合」
- 「高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの」
- 木造の建築部以外の場合、「延べ面積が三十平方メートルを超えるもの」
- 「木造の建築物にあっては、三百平方メートル」を超えるもの
- 「階数が三以上の建築物 」
たとえば、300m2未満の2階建て木造住宅を小規模な範囲でリフォームする場合は、資格は不要と捉えられるのです。
許可もほとんど必要ない!? リフォームのほとんどは「軽微な建設工事」
リフォーム工事は、資格だけでなく、許可もほとんど必要とされていないのが現状です。
建築物の工事には、国土交通大臣の建設業許可を取得することが定められています。しかし、一般的なリフォーム工事は建設業法の第3条に記載されている「軽微な建設工事」に該当。その基準は、次のような範囲になります。
建築一式工事(①もしくは②) | ①1件の請負代金が1500万円未満の工事 ②延べ面積が150m2未満の木造住宅の工事 |
建築一式工事以外 | 1件の請負代金が500万円未満の工事 |
- 「建築一式工事」とは、建物の建設に携わる複数の専門業者に対して、指導・監督を行う業務のこと。
ところが、一般的なリフォーム工事は、500万円未満が大多数。上記の範囲を超えないかぎり、そのほとんどが許可を得なくて済んでいるのが実状なのです。
届出もなし!? 未熟な業者や悪徳詐欺にも要注意。
建築士や地元工務店を頼ろう
これに加えて、資格や許可はおろか、リフォーム会社を開業するのに届出すら不必要なケースがあるのも、また実状。そのため、全国に何社ぐらいが存在しているのか、正確な数字は把握されていません。
極端にいえば、未経験者や悪徳業者でも、その日のうちから開業できるのもこの職種。消費者とのあいだに問題が頻出して、業界全体の不審につながってしまっているのもそのためです。
無用なトラブルを避けるには、国による資格の取得が義務づけられている建築士や、地元で評判の工務店などを当たるのが肝心。なぜなら、リフォームの施工は担当者ひとりでなし得るものではなく、複数の職人たちと手がける共同作業だからです。
我が身とその人生を託すマイホームのこと。町医者のように継続的に寄り添ってくれる、信頼のおけるパートナーと組みたいものです。
国も静観せず。リフォーム市場の整備と活性化が進行
とはいえ、国も手を拱いて見ているわけではありません。
国土交通省が掲げた新成長戦略「中古住宅・リフォーム市場の倍増」によれば、リフォームに携わる業者が、許可の対象に入ってくることを検討。2020年を目標に、適切な施工を行うための進行や効果、メリットについて啓蒙していく方針です。
引用: 国土交通省 中古住宅流通、リフォーム市場の現状
http://www.mlit.go.jp/common/000135252.pdf
- 数世代にわたり利用できる長期優良住宅の建設、適切な維持管理、流通に至るシステムを構築するとともに消費者が安心して適切なリフォームを行える市場環境の整備を図る。
- 2020年までに、中古住宅流通市場やリフォーム市場の規模を倍増させるとともに良質な住宅ストックの形成を図る。
新築はもちろんのこと、質の高い中古住宅の流通が促され、同時にリフォーム業界の整備と活性化が進行。私たち消費者にとって、一生を託すマイホームへの選択肢が広がる時代がやってきそうです。
建築ライターのワンポイントアドバイス
リフォーム工事の請負には、資格や許可、届出が不要なケースも多数。建築士や地元で評判の工務店をはじめ、信頼のおけるパートナーを探しましょう。国の掲げる方針による、業界の整備と活性化が待たれます。