排水がつまって緊急出動!
奥さまは「洗濯機、もう少しで終わるかな?」と様子を見に行ったら床が水浸しになって大変な思いをしました…。と疲れた様子で状況を語ってくれました。外の桝からも水があふれ出していたとのこと。一度、近所の設備屋さんにみてもらったそうですが、また詰まってしまったためご連絡をいただきました。
排水系統の確認
まずは、溢れ出た外の桝「A桝」とその水下にある桝の蓋を開け、つまった箇所を探します。上の写真「B桝」に詰まりはなく、その右の少し水上にある「C桝」に水が溜まり、ゴミのようなものが浮いていました。溢れた「A桝」も水が溜まっています。この2つの桝が怪しい。
「C桝」のゴミの除去と「A桝」の水かきを行うとA桝の中央にある大きな丸い穴が見えてきたのでそこからパイプ洗浄用ワイヤーブラシを入れて、配管内をワイヤーでさぐります。つぎは「C桝」からワイヤーを入れて探りますが、奥まで入っていきません。ワイヤーを動かし続けていると大きなゴミが浮きはじめ、それを取り除くと「B桝」に水が流れ出しました。
ひとまず水が流れてやれやれといったところですが、また詰まる可能性もあるのでなぜ詰まったのか、原因を突き止めなければなりません。それぞれの桝にどの排水が繋げられているのか配管経路の確認を行います。
問題のあった排水系統の一番水下側の「B桝」。ここには2つの水の流れ口があります。写真の上部からの経路は古いキッチンの排水。リフォームの時に蓋をしたので今は使われていないことがわかりました。もう一つは、排水の目詰まりが解消した時にも右側の経路から水が流れ出ていたので、「C桝」あるいは「B桝」からの排水口ということがわかりました。
水が溢れでた外部の一番水上側にある「A桝」内部です。古い昔から利用している桝です。この桝に繋がっていると思われる水周りの排水口から一箇所づつ水を流し、どこの水が流れ込むのか、系統を確認します。その結果、桝の右側の穴(写真の右側)から洗濯機とキッチンの排水が流入し、左側の穴から雨樋の雨水が流入することがわかりました。流れ込んだ水が溜まった水に落ち込み、オーバーフローした水が中央の大きな穴から、水下へと流れることがわかりました。大きな穴から水を流すと「B桝」に流れ出ていることも確認できました。雨水に混じる葉っぱや泥などのゴミをここの水溜めで受け、排水する雨水桝の形態をしていますが、雨水の流入口の真下近くに大きな排水穴があります。そのため、雨水に混じるゴミ類の除去をしきれずに、排水される可能性もあります。キッチンや洗濯機からの排水も流入していますが、防臭の仕組みはないようです。ここで一つ疑問がでてきます。「C桝」は?いったいなんの桝なのだろうか?
タテ管の底の方には水が溜まっています。直径100ミリくらいのため、タテ管の内部がよくみえません。腕を入れて指先で管の横から水の入る穴を確認します。届く範囲(約70センチ)の範囲に穴はない…。水が溜まっているということは防臭のためのトラップ(封水)があるということのようです。なぜここにトラップ?なのか。
詰まるところ・・・
この「C桝」の配置も「B桝」と「A桝」をつないだ線上から少しずれて配置されています。この「C桝」にどのような配管がされているのか気になり、もう少し管底の水を少しずつ汲み上げて配管の穴を探してみることにしました。そうすると管の底の方に高さの違う位置で対面で開いた穴が2箇所見付かります。高い位置にある穴からワイヤーブラシをなんとか挿入すると写真のようにぐるりと廻って、「B桝」からワイヤーブラシ先端が出てきたのです。もう一方の低い位置の穴にはワイヤーブラシを入れることができず、「A桝」からワイヤーを前後させながら進めていくと、ワイヤーブラシ先端が顔を出しました。正確な形状はつかめませんが、どうやらこの「C桝」は分離桝のような形状をしているものと思われますが管の直径が小さい…。
分離桝だとすると、排水中のゴミや油分などを分離できるトラップであり、タテ管の蓋を開ければゴミを取り出せるのですが、メンテナンスをしなければゴミは堆積していきます。阻集アミはないようです。本来、排水は低い位置の穴から「B桝」に繋がないとなりません。現状のように高い位置から「B桝」へ排水していたのでは浮いたゴミが、排水の穴を塞ぎ、詰まってしまうのは明らかです。当時の施工のつなぎ間違えだったのか…「C桝」の形状がしっかりと見えないので推測にとどめておきます。これで排水系統の概要はつかめました。
これからどうする
「C桝」から取り除かれたゴミをみると、砂利と白い石鹸のカス(臭いを嗅いでみる)、やわらかな油脂の塊。白い塊は大きいもので5×5センチくらいありました。奥さまに見ていただきお話から推察すると、以前利用していた洗濯用の洗剤の粉(天然成分)のものではないかと思われます。現在はその洗剤は使っていないとのこと。水に溶けきらなかった洗剤が配管やトラップに堆積し、付着していたものが剥離し、排水に流れ込んだため目詰まりを起こしたようようです。白い塊の浮遊物がなくなるまで、ワイヤーブラシで配管内をさぐり、水を流しできる限り除去しました。
「C桝」が目詰まりの原因であることがわかりましたが、「C桝」の交換ができれば良いのですが、床のコンクリートを切って、桝の交換をすることには費用の面も含めてなかなかできることではありません。どこで不具合がおきたのか、今回の作業によってはっきりとしたので奥さまもとても安心されていました。目詰まりを起こす不安は少し残りますが、目詰まりの元であった白い塊を作る洗濯用洗剤の利用も今はないので、残った異物を除去しきれれば、問題はなくなるものと考えます。油脂などの付着による汚れは堆積するので、今後は「C桝」を含めた排水系統の定期的なメンテナンスを行うことをアドバイス差し上げました。
リフォームの時に注意が必要
古い住宅の場合、キッチンや洗面台、洗濯機、浴槽の排水などその器具自体に防臭、防虫用のトラップ(封水)がなく、それらの排水がされた先の配管でトラップが組まれていることが多くあります。現在は設備器具の中で配管にトラップが組まれていることが多く、リフォームで器具だけ新しくして、既存の配管につなぐとダブルトラップという配管になり、流れを阻害し、排水時に「ゴボッ、ゴボッ」と空気を吸い込む異音を発することがあります。既存の配管系統、排水桝、トラップ、配管の口径(太さ)を十分に確認し、適切な施工がなされることが肝要です。
不具合は原因を知ることが大切
はじめに不具合が起きた時には、近所の設備屋さんに見てもらったとのこと。設備屋さんも出来る限りの対応を行ったことと思われます。配管清掃を行い、配管の目詰まりは解消しました。しかし、原因の特定には至らず、一時的に解消されただけだったのではないでしょうか。もう少し深く掘り下げ、原因の究明を行うことができていれば、異物の除去ももう少しできたのではないかと感じます。費用も発生することなので曖昧で不透明な事案には、なかなか時間と労力を割くことが難しいのかもしれません。
急を要する時には専門業者に対応してもらうのは、専門の道具を持ち合わせていますので早くて安心です。業者さんや職人さんに対してとても大雑把な言い方になり、なかには反感を持たれる方もいるかもしれませんが、しっかり仕事をする専門業者さんや職人さんは、口達者ではないように感じます。お客さまへの伝えることがあまり得意ではないため、片言での説明だったり、説明をうけても専門用語が多かったりではないでしょうか。不具合が解消されても、不安は解消されず、別途工事の話などされれば不安が増してゆくことにもなります。
そんな時にも私たちP+(プラス)では、お客さまと専門業者、職人さんの間に立って内容を見極め、わかりやすくご説明を差し上げています。また、今回のように原因を調べ、今後どのように対応してくのが良いのか、段階を追って道案内のサポートができればと考えます。お客さまの不安と不具合を解消するお手伝いができることがなによりの喜びにつながると考えます。