2016-03-31
中古住宅 雨仕舞02:ツタ類の植物で覆われた住宅
都会のアンコールワット、保湿効果で潤う外壁?
ツタ類の植物で覆われた住宅がありますが、建物に保湿パックは不要です。
外装のモルタルには防水性はありません。わずかなヒビ割れでも雨水は外壁にしみ込みます。
モルタルの下地には防水紙が貼られているため、万一ヒビ割れから浸透しても、そこで雨水をしのぐことができる構造になっています。また、ヒビ割れのない外壁であればモルタルの表層が湿気を帯びるだけなので、外気によって乾燥。外装材として問題はありません。
しかし、ツタ類の植物は写真のようにモルタルに根を広げ、外壁の表面を流れようとする雨水の排水を阻害。ツルの行き先によっては建物の内部へと「水みち」をつくることもあります。
外壁面に水気が滞留しやすくなり、乾燥しにくい環境をつくるため、ツタを除去したあとは次の写真にあるように、外壁面がコケやカビによって黒ずんでしまいます。
日射時間が短い北側の壁面でも乾燥は期待できるのですが、日射があることで下地の湿気が排出されず壁の中にこもってしまうことがあります。また、軒の出が少ないことで、痛んだ外壁に雨水が浸透しやすい環境となっているのではないでしょうか。
これらを繰り返し、「モルタル」下地の木部にまで劣化が進んでいるものと推察されます。
外壁が黒ずんだ写真のケースでは、劣化の進行と水気の下降を鑑みて2階だけでなく、1階部分と合わせて外壁モルタルと下地を除去し、再構築する必要があります。
最初の写真の状態であれば、ツタをすべて除去し、外壁を塗装により防水性を修復しましょう。
中古住宅で、なにがおきているのか
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