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2016-08-29

購入時には中古住宅の住宅設備の確認をしましょう

住宅設備が、あとどのくらい使えるものなのか確認が必要です。

 中古住宅購入時、あるいは内覧検討を行う際についつい後回しとなってしまう内容ではないでしょうか。見た目が綺麗でスイッチを押せば作動したから問題ないだろうと思っていても、購入してしばらくすると不具合が起きてしまったということがあります。慌てて販売した会社に問い合わせると、

「引き渡しの状態は弊社でも確認し、お客様にも確認していただきました。その時点では問題なく作動していましたし、その状態を契約内容としていますので保証には含まれていません。」「修理業者はご紹介いたしますので、直接修理をお願いしてください。」

購入予算に含まれなかった、予定外の出費の可能性が発生してしまいました。

住宅設備とは

 住宅の設備には電気設備、給水排水設備、空調換気設備、ガス設備、冷暖房設備などがあります。

1;電気設備   … 照明器具、スイッチ、コンセント、分電盤、シーリングファン、テレビアンテナ、インターネット、音響、太陽光発電などの電気を要する設備

2;給水排水設備 … キッチンやトイレ、浴室、洗面所など水を必要とする箇所への給水とその排水、雨水樋、雨水マス、排水マス、浄化槽、給水タンク、排水ポンプ、汲み上げポンプなどに関わる設備

3;空調換気設備 … 換気扇、給気、排気、キッチンのレンジフードなどの空気の入れ替えを行う設備

4;ガス設備   … ガス式暖炉、キッチンコンロ、給湯器等ガスを必要とする設備 

5;冷暖房設備  … エアコンや床暖房、パネルヒーターといった電気、ガスなどを使って冷房や暖房を行う設備

といった内容になりますが、設備で区切ると確認がむずかしくなるので、通常の住宅をベースに設備機器のあるところを各部位ごとに見ていくことにしましょう。

住宅設備の確認の仕方

キッチンガスコンロ

 着火はスムーズですか。点火をしてガスの炎が綺麗にでていますか。製造年月日を確認しましょう。メーカーの修理部品の関係もあり10年位が耐用年数の目安となります。利用頻度や使用状況にもよりますが不具合がなく10年以上長く利用できることもありますがあと何年位利用できるのか見当をつけることも必要です。また、最近ではIHコンロへの変更も可能なようにレンジ下に予備の電源が用意されていることもあります。将来の対応も合わせて確認してみましょう。IHコンロが設置されている場合には、ガスを併用することが可能かを確認してみましょう。ガスの不具合等の確認については、ガス会社が使用開始の開栓を住人立会いのもと行い、ガス漏れなどないかを確認しますので安心です。

キッチンレンジフード(換気扇)と給気口

 表面上は綺麗でも換気扇の内部の清掃が行き届かずに油汚れのままであることも考えられます。レンジフード内の換気扇も利用頻度や使用状況にもより換気扇のモーター劣化の程度に差はありますが耐用年数は10年位となっています。また、レンジフードの換気容量は大きいので、冬場を想定し家のすべての窓を閉め切ってレンジフードの換気扇を作動させてみてください。その状態で窓の開閉が重く感じたり、「ヒューッ」といった音が窓周りからする場合にはキッチンへの給気の量が不足していることになります。キッチン以外の部屋から空気を引っ張っているため、キッチンの換気扇を回すと暖かいリビングにいる人の足ものとが「スースー」と寒いといったことにもなります。その状態で焼き魚をして、煙が湧き、いくら換気扇を「強」でまわしても、キッチンの調理ででた煙はうまく排気することができません。換気扇の排気容量にあった給気口をキッチン内に設置することが望ましいのですが、できない場合にはあきらめてどこかの窓を開けて使うことになります。住宅購入後の部屋の快適さやキッチンの使い勝手にも影響があることなので重要です。

キッチンシンク(流し台)

 前の住人が綺麗好きでキッチンがピカピカ。それだけで印象はよくなります。しかし、クレンザーなどを多用している場合にはその粒子が水栓金物の回転稼働部分に入り込み、止水パッキンが劣化している可能性があります。水栓金物の周辺から水がにじみ出ていないか、動きに違和感を感じないかなどの確認をしてみましょう。シャワーホースが劣化していないかなどもみてみましょう。また高温のお湯を直接シンクに流すことが多かった場合にはシンク排水口の周辺のパッキンも劣化している可能性があります。可能であればシンクに水を張り、シンクしたの扉から漏水がないかみてみましょう。シンク下を覗いたついでに給水、給湯の開閉栓が作動するか、周辺に水が滲んでいないかを確認してみてください。さらに鼻をきかせて排水の異臭がないかを確認しましょう。異臭がこもっている場合には排水のつなぎに隙間ができているか、配管の継手で漏水している可能性もあります。

トイレ

 給水栓周りからの水の滲み、漏水や便座用のコンセントの腐食(尿汚れ、結露サビなど)がないか確認しましょう。トイレの水も流してみてタンクへの水溜めがスムーズか確認してみましょう。タンクの止水システムに不具合があるといつまでも給水音がとまらないことがあります。トイレの詰まりによって便器から水が溢れてしまったことが重なると、床が傷み「フカフカ」とすることもありますので床の状態にも注意してみましょう。給水管が室内で露出している場合、室内の暖気によって結露することがあります。保温措置などをおこない結露水による劣化を防ぎましょう。

洗面所

 浴室の湿気が洗面室に流れてくるため、洗面室の天井に設置された照明器具がある場合には防湿タイプのものが望ましいのですが、通常の器具を使用していることがあります。器具本体の劣化状況もさることながら、器具カバーを外して内部の電球のソケットなどに腐食がないか確認しましょう。漏電や火災の原因にもなりますので注意が必要なところです。古いタイプのダウンライト器具には、ものによって熱を天井内へ逃がす仕組みのものがありますので器具の劣化が著しい時には天井内へ湿気が流入し、天井内部での結露や劣化が蓄積している可能性も考えられますので専門家に調査をしてもらいましょう。

 そもそもの施工不良の問題ですが、洗面所の換気扇(この換気扇が作動)を親にして浴室には給気のグリルのみで機械がない、2室換気扇で換気をしているケースがあります。浴室の湿気を洗面所に引っ張ってくることになるのでNG施工です。トイレと洗面所と浴室を一つの換気扇で排気する3室換気の場合、状況によって排気のための配管の距離が長すぎて排気が弱くなってしまっているケースがあります。換気扇のグリルにティッシュペーパーなどをあてて、しっかりと換気がされているかの確認が必要です。

 洗面台への給水、給湯、排水の水滲み、漏水の確認を行いましょう。洗濯パンの排水状況や清掃状況も確認しましょう。浴室から洗面所へ入る出入り口の床は湿気などにより劣化が著しいケースが多く見られます。床が沈まないか、腐食などはないか確認しましょう。劣化が見られる場合には、床下からの点検確認もされた方がよいと考えます。土台などの腐朽が進み、シロアリの被害が出やすいのもお風呂場周りです。専門家に調査してもらいましょう。洗面台での給湯も給湯器の作動とお湯が出るまでの時間などがスムーズな状況か確認しましょう。

浴室(ユニットバス)

 換気扇、浴室暖房乾燥機、などの作動を確認しましょう。浴室内壁のひび割れやタイルの浮きがないか確認しましょう。ユニットバスの場合には壁パネルの継ぎ目に腐食がないか、床のひび割れがないか、浴槽カバー内部の清掃はできているかを確認しましょう。

 浴室暖房乾燥機の製造年月日と耐用年数を確認しましょう。耐用年数は利用頻度などにより個体差はありますが約10年が目安です。換気扇も同様10年〜15年程度。換気扇の羽の汚れが溜まると使用時の音が大きくなったり、異音がすることがありますので清掃状況を確認しましょう。

 シャワーホースの劣化(特にヘッドの根元)がないか、水栓金物の開閉に違和感がないかを見ましょう。洗い場の排水口の内部の汚れ、清掃状況と湯船(バスタブ)の排水状況を確認しましょう。湯船へのお湯張りもどのくらい時間がかかるのか、排水はスムーズなのか調べてみましょう。シャワーや洗い場でのお湯を流し、キッチンの水栓も流してみましょう。

 同時に利用した場合に給湯量が不足し、お湯の出が細くなったり、シャワーが水に変わることがあります。日常の利用状態をなるだけ再現し、確認することが大切です。

給湯器

 キッチンや洗面所、浴室などの同時給湯に耐えられる機能の給湯器か確認しましょう。給湯器の給湯容量は号数で表記されます。屋外の給湯器の型番の書かれたシール(型銘板)を確認しましょう。リフォームされ給水、給湯箇所が増えているにもかかわらず給湯器の容量サイズが小さいと同時使用に耐えられません。あわせて製造年も記されていますので耐用年数を確認してみましょう。給湯器と床暖房熱源の耐用年数は一般的には10年〜13年程度、床暖房の熱源が給湯器と一体型の場合には、それぞれの使用頻度によって耐用年数に誤差が出ます。どちらかに不具合が出た場合には一方が利用できていても交換しなければなりません。どのような熱源が設置されているのか、耐用年数はどのくらいかを確認しましょう。床暖房の熱源は温水式の場合、床暖房の温水を部屋に敷かれた暖房の管に満たした状態を維持しなければなりません。使用しない期間が長いと自動給水タイプでない場合には、その管の内部の温水(不凍液)が不足してしまうことがありますので、不凍液の補充の有無などメンテナンスの確認も重要となります。

エアコン

 こちらも、メーカーの部品取り扱い期間もあり耐用年数は10年程度となっています。製造年と型番の書かれた型銘板を確認しましょう。引越し屋さんに外してもらい、新しい家に取り付ける方もいることでしょう。そこで注意しなければならないのは、引越し屋さんが取り外したエアコンの効きが悪くなることがあります。エアコンの冷媒液を戻さないまま、あるいは不十分なまま、取り外しをおこない、取り付けの時にも冷媒液の補充を行わないことが原因です。配管のつなぎ不良や配管を傷めていることによる冷媒ガスの漏れもおきるようです。引越し屋さんは引越し専門であり、引越し金額もリーズナブルな交渉をされることと思われます。エアコンの脱着は専門の業者へ依頼することをお勧めします。これまで利用してきたエアコンの耐用年数が10年近くなっていれば、新規に購入し取り付けることも検討してみてはいかがでしょうか。

分電盤

 外部から電線の取り込み宅内に行い、各建物の内部への配線を行う集積場所となる場所、ブレーカーがある場所です。停電時や室内の電気が消えてしう時には「バン!」という音とともこの分電盤のブレーカーが落ちます。宅内のいずれかで過電流(漏電)などがあったり、電子レンジやエアコン、ドライヤーなどの同時使用によって容量が不足した時にこのブレーカーが落ちます。各住宅での契約電力(30A,40A,50A,60A等)によって異なりますが、分電盤には各回路を子ブレーカーで分岐配分(洗面所周辺、キッチン周辺、エアコン専用)されています。ドライヤーと乾燥機とエアコンが同じ回路の中にあり、子ブレーカーで分岐配線されていた場合にはその配分が利用状況に不足しているため同時使用に堪えられないことになります。消費電力というもので、機器のカタログなどに記載されているのを目にしたことがあると思われます。例えば、エアコンだと6畳用で約440W,8畳用で500W、ドライヤーは1500W、電子レンジ600Wなど。1分岐の1回路あたりの容量は1200Wを基本としますのでそれ以上の電力消費があるとブレーカーが落ちます。

 特に注意が必要なのは古いマンションの場合です。各住戸のブレーカーが30Aのものが多くあります。リフォームなどをして現代的な設備を計画してみても消費電力が30A内におさまらず、各部屋の部屋の電気をつけっぱなしにして、各部屋エアコンつけて、テレビとヒーターをつけて、電子レンジをつけたらブレーカーが落ちてしまう、といったことが起きてしまいます。一戸建ての住宅ならば、利用状況に合う契約に切り替えれば済みますが、マンションの場合には、マンション全体での建物への供給電力の容量が当初の建設時をベースとしているために、各住戸の契約電力を40Aや50Aなどに上げることができないことがあります。マンションへの供給電力を上げる工事が必要となるか、供給電力に余剰があれば、管理組合等への承認を経て同じマンションの他の住戸との折り合いがつけば、契約電力を上げることが可能になります。プランと生活の仕方を踏まえ、どのような機器にどれくらいの消費電力がかかるのか、事前に確認することがとても重要となります。

雨水の処理

 雨樋の排水処理に樋の傾き漏れ、接続不良、などの不具合はないか、排水枡の蓋を開けて室内各所から排水を行い、室内の排水が的確になされているか、枡の接続不良で排水が枡の内部で漏れていないか、ゴミが堆積していないかなどの確認が必要です。

機器の製造型番銘板の確認

 照明器具、給湯器、浴室乾燥暖房機、キッチンなどのメーカー製造品には型番と製造年が記された「銘板」と呼ばれるシールや刻印がされています。それらの機器の取扱説明書や保証書、中古住宅の場合には、メーカー保証期間がすでに終わっていることと思われますが、型番など商品の情報が記されていますので不具合が起きた時、メーカーへの問い合わせに必要な書類となります。それらの書類があるかを確認しましょう。そして、それぞれの現状の作動確認を行い、耐用年数の確認を行い、販売会社等がメーカー保証とは別に住宅設備への保証についてどのように考えているかを確認することが重要。

 住宅購入後に起きる設備の不具合によって予期せぬ出費を想定することで、予算にあった購入物件の価格の妥当性を見直すこともできるのです。

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 住宅設備の点検、型番銘板の確認等、すべての確認にはとても時間がかかり、大変な作業となります。よりよい家に巡り会うための第一歩として、お手伝いサポートをP+(プラス)でさせていただきます。お気軽にご相談ください。

 

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