耐震性は、意外と身近なことの積み重ね
Y様を訪問。
Aさんから紹介があり、訪問の経緯を説明していただきました。
Y様は、「Aさんのお勧めがあったので……説明だけは聞きましょうか……」とご自身の事としては捉えられない様子。当然の反応だと思います。
普段は気にかける事もなく、得体のしれないものであろう「耐震」について少しずつお話を始めました。
1;どんなところに家があるのか。
地形図や近隣ボーリングデータなどの資料を用いて、地盤状態や揺れやすさや立地状況を説明。 直接的に普段の生活で影響を受ける事が少ないため、山・川・谷・低地・台地をはじめとした、家の建っている場所や周辺の地形を意識することはほとんどないのでしょう。近所の見慣れた川や公園、池、土地の高低差などを地形図で再確認することで、どのような場所に家が建てられ、その地盤が安定したものなのかを知ることできます。
2;どういう基準で建物はたてられているのか。
建築基準法と耐震基準の概要について。
1981(昭和56)年に新耐震の基準が設けられ、その後も改正されています。
そのため、現在の基準で建てられた家に比べれば、相対的に耐震性は低くなるのは仕方のないこと。
しかし、現在の基準に頼れば「確実に安全」になるというモノでもありません。日常生活を送る住宅に手を入れることには多くの障壁があるのもまた事実です。
安全で安心できる環境にするためにも、現行基準により近づける検討と工夫が必要となります。
3;地震に耐えるために、大切なこと。
建物の大きさと重量、それに耐えられる強さとバランスが必要。
頭の上に重いものを載せて歩く時、重心が高くなるために足腰や足元がしっかりしていなければなりません。
家でいうならば屋根が瓦のように重いモノの場合、支える壁や柱、基礎、地盤がそれ相応の耐える力を持っていなければなりません。
屋根が軽く、頭を重くしないことが重心を下げることになり、少ない力で無理なくバランスを取りやすくなるのです。屋根材だけでなく、室内の荷物や家具などの重たいモノはなるべく地面から高い位置に置かないよう、重心を低く抑えることが大切です。
特にピアノは1階へ。
壁や窓の配置とバランスも大切です。
たくさんの光を取り込みたいので、南側や光が取れる方角に大きな窓がありませんか?
見通しが良く、広い部屋が欲しいために壁を取り払っていませんか?
建物の強度(壁の量)はあってもバランスが取られていないと、振り子のように揺れてしまいます。建物の平面形状の中心である「重心」と地震などによる水平の揺れに耐える力の中心「剛芯」のズレは「偏心率」で表されます。
2000年(平成12年)の建築基準法改正で、木造住宅は「偏心率は0.3以下であること」と規定されました。
難しい内容もY様の「我が家」実物を見ながらの説明でリアリティーを感じながら、理解を深めていくことができたのではないかと思います。