ユニットバスのトラブル解決手順。
ユニットバスの不具合・トラブルのケース
不具合・トラブルが起きた時には「すぐにその不具合箇所を修理したい!」でも、慌てて治そうと手をつけるとかえって状態を悪くしてしまうことがあります。少し気持ちを抑えて、何から手をつけていけばよいのか、手順の一例をご紹介します。
メーカーによって部品の呼び方が違う場合や、それぞれの年式と品番によって構造が少しずつことなりますのでメンテナンスの方法やパーツを探すときには、しっかりと商品の名前や不具合の状態を確認することが重要です。メーカーに問い合わせる場合においても、状況を『メモに書き出し』正確に伝えられるように準備しましょう。
トラブル対策の手順の一例を追ってみましょう。
手順;1 製品の品番を調べる。
一般的には製品本体のどこかに品番の表示があります。これを確認するのが一番早くに商品を知る方法です。まずは確認してみましょう。
取扱説明書の表紙裏には品番の調べ方として、「浴室内側ドア右側上部に貼ってある管理ナンバーシールで管理ナンバーと品番を確認」とあります。INAXのサイトでも同様の案内があります。
INAX(LIXIL)のHP 「品番の調べ方」http://iinavi.inax.lixil.co.jp/hinban/bath.html
現物をみて、シールがあるか確認してみましょう。
浴室内側ドア右側上部には…シールがありませんね。浴槽にも表示は見つかりません。分譲マンションや建売戸建、分譲住宅などでは製品表示シールが貼られていないことが多く見受けられます。まだ、特定する方法はあるので心配いりません。
手順;2 製品の寸法(サイズ)を調べる。
ユニットバスの室内の内法寸法を測ってみます。今回のユニットバスは短辺が1300、長辺が1700ありました。ユニットバスの品番の一部となるサイズ「1317」ということがわかります。
解ったこと!;サイズ『1317のユニットバス』
手順;3 取扱説明書・保証書を探す。
取扱説明書から今回トラブルのあった製品についてどのような商品なのか、製品名の名称保証期間などを調べます。
建物の契約書と一緒にもらった、引渡し書類の中に機器の取扱説明書をまとめたファイルがありました。ユニットバスの保証書付き取扱説明書の冊子から製品名とシリーズ構成の型番が判明。最後の保証書のページをみても詳細の品番の明記はされていませんでした。さらに、押さえておくポイントとして取扱説明書の裏表紙の下の方に記載された説明書の「資料番号」と「改訂番号」です。製品の年式に見合った説明書が添付されていることから、この番号を使って商品の年式を割り出すことができます。建築の年月日から推察をした『2007〜2008年式のユニットバス』と合わせて、裏付けを取るヒントになります。
解ったこと!;製品名『INAX システムバスルーム ソレオ』
解ったこと!;型番『ソレオシリーズ BY-』
解ったこと!;シリーズ構成
例:BY–1317LBEFU
BY=ソレオシリーズ
1317=ユニットサイズ
L=Lパネル(壁パネル) T=タイル S=化粧鋼板パネル
B=FRPモザイクパターン(床仕様) A=タイル仕上げ
EFU=タイプ GUU・GTU・UDU・SSU・SDU・EFU・PEU・UXU
解ったこと!;取扱説明書の番号『資料番号GPU-0197/改訂番号08035』
ここまでを一旦整理します。
『2007〜2008年式』(建築年月日から)
『INAX システムバスルーム ソレオ』(取扱説明書から)
『BY−1317LBまたはBY−1317SB』 壁パネルは現状から「L」または「S」、床仕様は現状から「B」タイプ別の詳細仕様は不明のまま
手順;4 施工した会社、販売した会社に問い合わせる。
建設に関わった会社との連絡が取れる場合には、これも一つの手段です。ただし、引渡しを受けてから年月が経ってしまうと、いずれの会社も今の仕事に追われ、過去の資料から探しだすことになかなか手が廻らず対応が遅くなることでしょう。工事が終わってしまえば、資料すら残されていないこともあるのかもしれません。機器の保証期間内であれば、積極的に修理の依頼をしてみましょう。緊急トラブルで処置をお願いするならば、製品の品番確認を含めて全てお願いしたほうが良いのかもしれません。
施工した会社や販売した会社への依頼を諦めた方や、費用をおさえたい方は「D・I・Y」で行うのも良いでしょう。次の手順へ進みましょう。
手順;5 製品を納入した年式を知るために、工事がされた年月日を調べる。
引渡し書類の中から契約書や引渡し書類などから工事期間と完了年月日を確認します。
①契約;2008年11月(マンション購入日)
②確認検査済証;2008年3月(建物の建築確認完了済みの証書が発行された日)
③確認済証交付;2007年7月(建物の建築を行うための確認申請済みの証書が発行された日)
住宅設備機器の製造年式を知るために必要な情報は、②と③になります。2007年〜2008年の間にユニットバスが施工据え付けされたものと推察されます。
解ったこと!;年式『2007〜2008年式のユニットバス』
手順;6 メーカーに問い合わせる。
ここまでに調べてきた内容があることで、問い合わせもスムーズになります。
INAX(LIXIL) お客様サポート→緊急のお問い合わせ
http://www.lixil.co.jp/inquiry/consumer/emergency.htm
TOTO アフターサポート
http://www.toto.co.jp/aftersupport/index.htm?_ga=1.24305914.1587098125.1492231764
TOTOのHPには、品番がわからない場合の商品の写真の撮り方と問い合わせ方法を案内しています。
「修理施工ナビ」(TOTO)
http://search.toto.jp/contents/navi/
品番がわからない場合(TOTO)
http://search.toto.jp/contents/navi/construction/guide/hinban_default.htm
品番がわからない場合の撮影ポイント(TOTO)
http://search.toto.jp/contents/navi/construction/guide/point.htm
品番がわからない場合の撮影ポイント[浴槽](TOTO)
http://search.toto.jp/contents/navi/construction/guide/pdf/ub_p.pdf
手順;7 取扱説明書にあった番号『資料番号GPU-0197/改訂番号08035』からもわかることがあります。
INAX(LIXIL)HPから取扱・施工説明書の検索ができます。
http://www.biz-lixil.com/descript/search.php
「品番・品名から検索する」の検索空欄に仕様が判明している『ソレオ BY-1317LB』または『ソレオ BY-1317SB』と入力すると販売期間の目安が判明してきます。判明した『2006年モデル』のいずれかの商品品番をクリックしてみましょう。
該当資料の一覧を見ることができます。そこに、『資料番号GPU-0197/改訂番号08035』の取扱説明書を見つけることができました。対象期間を見ると2008/03〜とあります。確認検査済証;2008年3月ですから、ユニットバス施工時の取扱説明書を保管していなかったのか、つまりは工事完了後にまとめてメーカーから取扱説明書を取り寄せたのでしょう。残念ながら今回は取扱説明書から年式を絞り込むことはできませんでした……。
解ったこと!;販売期間の目安、年式判明『2006年モデル 2006/10〜2013/02』
解ったこと!;『取扱説明書は工事施工時のものではなく、竣工時のものであった……』
手順;8 商品のシリーズの全容をカタログで一応確認してみる。
建築現場に納入された時期のカタログをみれば、ユニットバスの仕様の全容を知るヒントになります。しかし、分譲マンションや建売住宅など施工業者からの発注出荷台数がまとまる場合には、一般流通品番ではなく専用の品番でグレードを調整した特別仕様となることがあります。この場合、現物とカタログの商品で仕様内容に差異がありますのでカタログは参考までにということになります。
INAX(LIXIL)の「WEBカタログ旧版」サイトから過去のカタログを確認してみる。
http://www2.lixil.co.jp/rp/dfw/exsas6/oldwebcatalog/Default.aspx
工事期間に該当するカタログは2007年10月版。ソレオシリーズの全容を把握できます。
解ったこと!;『カタログ 2007年10月版の商品』
ここまでを改めて整理します。
『2007〜2008年式』(建築年月日から)
『INAX システムバスルーム ソレオ』(取扱説明書から)
『BY−1317LBまたはBY−1317SB』 壁パネルは現状から「L」または「S」、床仕様は現状から「B」タイプ別の詳細仕様は不明のままですが、浴槽排水栓の仕様に影響なさそうなので、追求しません。すっきりしない方は探求を続けてみてくださいしてみてください。
『2006年モデル 販売期間2006/10〜2013/02』(取扱説明書等から)
『カタログ 2007年10月版』(建築納品時の仕様)
これで、商品のおおよその概要はつかめました。
ユニットバス以外の機器類においても、同様に商品を知ることから始めてみてください。
工事完了時の書類の確認は重要!
これまでの手順をみてもわかるように、年月が経ってから商品の名前や品番を特定することにはとても手間がかかります。改修工事、戸建購入時、マンション購入時には契約書と一緒に受け取る書類の中に、住宅に備え付けられた機器類の取扱説明書と品番が明記されていることを確認しておきましょう。今回のように取扱説明書はあっても品番の特定が難しい場合があります。
さらに、寸法や商品の仕様がわかる図面や当初のカタログ、施工要領書なども揃えておくと将来の改修工事の際や不具合がおきたとき、部品の交換時などの資料として役に立つことでしょう。いまでは、製品寿命(耐用年数)とパーツ供給の期間との兼ね合いもあるため、過去に遡れる期間は限定されますが、各メーカーのHPのサイト内に過去の製品データ情報が提供されています。
私たちが改修工事を行う際に、既存の機器を再利用する場合があります。現物があるのでそれをみればある程度はわかるのですが、電気回路と結線の方法や機器の寸法、固定方法や施工時に注意すべき内容をその資料をみることで確実な情報として現場に関わる人たちの共通認識を持つことが可能となる資料です。
自分で調べて修理する「D・I・Y」は、住む家にも愛情が深まり、楽しいものです。でも、慣れないと調べることも大変。困った時には、メーカーに問い合わせるか、『Pプラス』にご相談ください。