耐震診断で、お住いの弱いところを事前に知っておきましょう。
地震をシミュレーション
耐震診断を受けて、その調査データを専用ソフトで解析することで、いまお住まいの建物がどれだけ地震の影響を受けるのかを疑似体験することができます。耐震性のシミュレーションといったところでしょうか。
下記の図は、「耐震診断ソフト;ホームズ君Pro」に建物の調査データを入力し耐震性をシミュレーションした外観図です。左側が現在の建物の平常時の状態、右側が現状の建物に補強計画を検証した平常時の状態です。画面で壁が緑色した部分が補強箇所です。建物の耐震性は基礎から上の上部構造の総合評価値「評点」で表されます。
評点分類
1.5以上(倒壊しない)、1.0以上〜1.5未満(一応倒壊しない)、0.7以上〜1.0未満(倒壊する可能性がある)、0.7未満(倒壊する可能性が高い)
建物は診断後、上記のいずれかの判定になります。極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第 88 条第3項に定めるもの)に対して倒壊、崩壊(東京では震度6強から7程度の地震力に対して)の可能性の有無を表し、1.0以上は耐震性が確保されており、1.0未満はなんらかの耐震への対策が必要という判定になります。数十年に一度発生する地震、東京では震度5強程度の地震力に対して損傷しないという耐震性の目安となります。この数値が約1.3〜1.4倍確保されていれば耐震等級の等級1、約1.6~1.8倍確保されていれば耐震等級の等級2、約2.0倍確保されていれば耐震等級の等級3に相当します。
ただし、この数値は建物が地震後引き続き利用できることを示すものではなく、地震時に建物の倒壊や損傷から人命を守るためのものであることに注意しなければなりません。1度目の地震により見て判別できる損傷がなくても、余震が続くことで損傷が進行しやすくなり、倒壊へ至ることも考えられます。初期の地震から人命を守り、避難が可能な状況を保つことに目的があるのです。
地震の前(平常時)
下記の建物の現状の耐震性を検証、シミュレーションした結果、1階X方向0.37、Y方向0.76 2階X方向0.79、Y方向1.09の値がでました。総合評価点は最低値を取るので『0.37』です。つまり、0.7未満なので倒壊する可能性が高いと判定されます。(下記図では手前角から建物の外側沿い左方向、バルコニーのある面がX方向、手前角から建物外壁沿い右方向がY方向です。)
(耐震診断ソフト;ホームズ君耐震診断Proによる検証)
地震後(地震による建物への影響)
下記図は震度6強から7程度の地震を受けた時の建物の耐震性がどの程度あるかを検証、シミュレーションした状況です。左図の補強がされていない現状の建物は倒壊してしまいました。右図の補強計画を検証した建物は評点が、1階X方向1.08、Y方向1.15 2階X方向1.05、Y方向1.09の値があり、総合評点は1.05となり『倒壊しない』とうい判定です。2階の傾き損傷はありますが、倒壊には至らなかったことがわかります。ただし、2階の損傷が出ているため、同程度の余震が起きた時には2階は崩れ、その反動で1階も倒壊する可能性があるものと考えられます。
(耐震診断ソフト;ホームズ君耐震診断Proによる検証)
建物の弱いところを事前に知ることが大切
耐震診断をおこない、診断ソフトで耐震性を検証することで建物の弱い部分や改善すべき箇所が見えてきます。この建物の弱点を知ることで地震が起きた時にどの部分が壊れやすいのか、どの部分がより安全なのかも見えてきます。また、どの部分を補強すればより安全な空間を確保できるのかもわかります。部分的な内装のクロスの張替えやキッチンや浴室のリフォームなどの機会にあわせて、耐震補強をおこないより安心な家となるよう検討されてみてはいかがでしょうか。生活しながら一度に補強工事をおこなうことは難しいことかもしれません。補強の計画をたてて、段階的に補強をしてくことも可能です。まずは、建物の状態を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
現在お住まいの建物の耐震性を調べてみたい方
1;「誰でもできるわが家の耐震診断」
財団法人日本建築防災協会から「誰でもできるわが家の耐震診断」というリーフレットを用意していますので、一度ご利用になってみてください。書き方などご不明な点がございましたらご連絡ください。ご希望であればリーフレットの郵送、またはお届けもいたしますのでご相談ください。
一般財団法人 日本建築防災協会 http://www.kenchiku-bosai.or.jp/files/2013/11/wagayare.pdf
2;簡易判定(より身近に!よりお気軽に!はじめの1歩!)
安心、安全の一歩は今を知ることから始まります。上記図にあるように事前に耐震性を検証、シミュレーションすることが可能です。図面や確認申請書、外観、内観写真などの最小限の情報を提示いただければ、机上での診断(簡易判定)をすることも可能です。耐震性の評点がどのくらいあるのか、どの部分がこの建物の弱点なのかを知ることができます。あくまでも目安としての判定になりますので、判定結果を使っての補強工事はできません。補強工事をされる場合には、訪問させていただき、精密診断を行った上で補強計画を提示させていただきます。
3;精密診断
キッチン、浴室などの改修計画を予定されている方は、一度耐震診断を受けてみてはいかがでしょうか。改修工事の範囲に合わせて行える、補強工事の計画を立てれば耐震補強工事を単独で行うよりもコストを抑えられます。各自治体の耐震診断・耐震補強工事助成金の申請、補強工事も専門家が一貫して行っています。
P+(Pプラス)では、「簡易判定」で安心、安全への第一歩をサポートします。ご利用、ご相談お待ちしております。