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2016-06-06

新築住宅の見極め その2

購入商品としての建売住宅(分譲住宅)とは

 住宅の購入を考える時、完成品として購入する建売住宅という商品がどうゆうものなのか、家電や車などのようにできあがった商品を購入するのとは少し違った意識と見方が必要ではないでしょうか。建物に不具合が発生する要因がそこに隠されています。建物という商品の特徴を少し考えてみましょう。

 

住宅は一つ一つがオーダーメイド商品

 近年では部材の規格化や現場での作業の効率化が図られ、住宅を建てる費用を抑える工夫も進んだため、家電や車などのように店頭で買える商品に近い状態で家を買うことが可能となりました。住宅の工業化が進んだと言えるでしょう。

 しかし、すべてが工業化されたわけではなく、住宅は一つ一つが違う建物である状況には変わりません。家電や車などのように一住戸そのままの建物を品質管理された工場で生産し、不具合のない完成品として現地に運び込み、所定の敷地に置くことはできません。土地や環境、住む人に合わせた住宅を作るためには、一つ一つ必ず各現場での作業が必要になります。(独自性)

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個々に異なる専用組立工場

各建物が置かれる環境や条件(敷地の条件、法規、建築主の要望、天候など)はそれぞれに異なります。個々に異質な建設現場が、その建築物を建てるための専用工場となり、その曖昧な環境下において多くの工程と人を介し、建物は作られていきます。(固有の環境)

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現場ごとに異なる多くの工程と人材

 その建物のために作られた特設工場で建物のパーツを組みあげるわけですが、その部材数と施工手順は膨大な量となり、複雑な作業工程となります。また、個々の状況に臨機応変に対処するためには、専門の技術や知恵と経験を兼ね備えた多くの専門の人たちの手が関わることが重要であり不可欠となります。(多種多様性)

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技術と経験を積んだ専門家

 いつも決まった材料を使い、同じ環境下で、専任の作業員が行うわけではありません。品質維持と確実な施工を行うためには、異なる条件の中でも同等な品質が保てるように、技術の教育や施工基準を設け、現場での品質管理を最低限確保する必要が出てきます。(専門性)

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 建物という商品の特徴である、独自性、固有の環境、多種多様性、専門性を踏まえ、工事が行われる前に調査・計画・設計・見積・施工についての十分な検討がなされていなければなりません。

 これらの検討が不十分であると、その代償は必ず工事中に現実の不具合として発覚します。その場でのできる限りの範囲で対処することが多くなります。また、不具合の内容によっては他の不具合を連鎖することも考えられ、工事のやり直しを強いられる可能性も出てきます。気がつくこともなく工事が進行することや、不具合の対処の仕方を誤れば、瑕疵や欠陥を招く要因になることもあるため、工事前の計画の検証が十分になされていたかはとても重要なことになるのです。設計図面と見積書に集約される内容ですから、その書類の中身をしっかりと確認することが大切です。

 設計図面と見積書を読み解き理解することは難しいことかもしれませんが、契約の重要な書類の一部です。曖昧なままにして契約をすることのないようPプラスでは『図面・見積チェック』を専門家の眼を通して行い、内容をご理解いただけるようサポートをいたします。是非、ご活用ください。

 計画の検討が十分になされると、現場(専用工場)での組み立てがいよいよ始まります。

 

設計基準と施工基準、そしてその教育

 建物を建てる構造や工法、使う材料などは多岐に渡ります。木造と鉄筋コンクリート造の建物では作る方法や材料も異なります。耐震補強工事も知識はあっても経験がない設計士や職人さんではまともな工事にはなりません。また、知識や経験が不足している設計士や職人さんもいます。設計の基準と施工の基準を設け、それをこなせる経験のある職人を使わないと品質の確保は難しくなります。(均一化)

 

品質を一定に保つ

 建築に関する知識や経験は広範囲に渡るため、一人の人間が全てを熟知し、担うことは難しいことです。大工、左官、屋根、板金、建具、塗装などなどの専門分野の職人が分業して担うのはそのためでもあります。他の分野の仕事に手を出せるほど、一つの分野の仕事は決して浅く習得できるものではありません。一人でいくつもの職をこなすと言われる多能工などという言葉もよく聞きますが、本職のついでの範疇で行わる仕事ぶり、もしくはどの仕事も日曜大工の延長線程度の仕事ぶりであることもみられます。状況によってそのような人材も必要ではありますが、一長一短を理解し判断する必要があります。

 本来、職人さんは他の職人さんの仕事を考えつつ、自分の仕事に責任を持って行い、他の人の仕事に手を出すことはありません。信頼のおける職人さんは、本来の自分の仕事において基本技術の向上を図りつつ、新しい材料や工法を勉強し、各現場で作るものが異なれば、それに合わせて対応できる力が求められます。そう言った職人さんをその都度采配し適材適所とベストな状態が築ければよいのですが、その時々の状況によりスケジュールが合わないことや、職人を確保することができないこともあります。仕事の内容と質を見極め、一定のレベルを維持できるよう施工管理と言われる人たちにより現場の基本構成が組み立てられます。(安定性)

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 家電や車などの商品との大きな違いは、特異な環境下において商品の品質を保つための均一化と品質の安定性に配慮する必要があるところに違いがあるのかもしれません。多くの人たちが関係することは、人が関わるからこそ生まれる自分だけの温かみのある生活空間を作り上げる住宅のメリットでもあります。一方、人が関わることで生まれる瑕疵や欠陥などの不具合を起こすデメリットにもなっていることを知っておく必要があります。住宅の品質を得るためには、人為的な不具合が起きないように、正しい施工が行われ、工事のムラがなく、安定した作業を積み重ねていけようにすることが、商品としての仕上りに大きな影響を与えるのです。

 デメリットの生まれる要因を理解し、不具合のない建物を見極めるには、工事前の十分な計画検討と工事中の施工管理、品質管理の2段階がしっかりとできているのかを見極めることが、より良い住宅を購入するために必要なこととなります。

 建売の場合は完成品と確認申請用の図面で判断することしかできませんが、設計図面と仕様書の内容が現状と相違がないか確認しましょう。計画に基づき現場が忠実に進行したのか、壁、屋根、各階の床、防水、耐震、断熱はどのようになっているのかなど、仕様書通りの内容かを確認しましょう。工事中の施工管理写真も見せてもらえるか聞いてみましょう。施工管理と品質管理の状況を知ることができます。ほとんどの場合、施工写真は撮られていないことに気づくことでしょう。そこから、建物の品質管理状況も見えてきます。

 慣れていない場合、このような確認作業も大変かと思われます。建売住宅であれば契約前の建物検査、または同行確認、注文住宅であれば各工程での施工チェック、物件検討を行う際の見極め相談など、Pプラスのサポートでお力になります。

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