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2016-08-24

台風に備えて、我が家の総点検!

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台風シーズン到来、大切な住まいはどのような地形にあるのか。

 2016年08月22日12時30頃、千葉県館山市付近に台風9号が上陸。関東地方への上陸は2005年以来11年ぶりとなりました。昨今の異常気象とあいまって、集中的な豪雨により各地での被害も予想できないものとなったようです。東京、神奈川、埼玉でも地域によっては「土砂災害に注意」などといった警戒情報が流されましたが、都市部近郊での土砂災害をイメージすることが難しかったのではないかと感じます。崖が崩れて土砂が流れて初めて「ここに崖があったんだな…」と再認識した方も多いのではないでしょうか。

 普段生活している近くの環境の中にも高低差があり川、山などといった自然の形態があることを忘れてはならないことを再認識することになります。いま家のある場所がどのような自然地形の中に位置しているのかを調べておくことが、災害時に慌てず対応するための第一歩ではないでしょうか。今一度ご確認いただくことをお勧めいたします。

地盤サポートマップ https://supportmap.jp/#13/35.6938/139.7918

住環境情報 map http://gspace2a.asahigs.co.jp/jukankyo/main.php

ジオダス http://www.jiban.co.jp/geodas/guest/index.asp

地盤ネット http://jam.jibanmap.jp/map/main.php

 山を改変し、宅地造成により傾斜地に家が立てられていれば、自分の家より上の土地や山から雨水は流れ込みます。多量に降った雨により、盛土による造成地は盛った土が流れ、地盤が陥没するケースもあります。あるいは隣地内で雨水の排水処理がなされずに雨水が流入してきている場合には、自らの敷地の崖とは反対側の低い方へと地中を伝って、地中の土を引っ張り流れ出て地盤の陥没を招く場合もありますので、自らの土地の排水状況もさることながら、外部からの雨水の流入はないか、さらには周辺状況の雨水の処理状況も確認しておく必要があります。離れた裏の裏の崖が崩れて被害に及ぶことも十分に考えられます。

 天災には当然敷地の概念はなく、日頃認識してる人間の持つ尺度とは異なるスケールで周辺地形や環境によって作用し、被害をもたらします。川が遠くとも、川との高低差がなければ増水氾濫にともない、水による被害を受けることになるため地形への関心と注意が必要です。

多くの雨と強い風に家は耐え、私たちを守ってくれます。

 ずぶ濡れになりながらも台風の猛威に耐え、あなたはようやくの思いで外から帰宅することでしょう。そして、濡れた衣服を着替え「ほっと一息」一安心されていることでしょう。しかし台風が過ぎ去るにはまだ時間がかかるようです。

 当たり前のことですが、そんな今もあなたの家は台風が過ぎ去るまでは休むことなく強い雨風に耐え、安心できる大切な生活空間を守り続けているのです。「雨ニモマケズ、風ニモマケズ…」安心な生活空間をあたえてくれる家に敬意を表したい限りです。(https://ja.wikisource.org/wiki/雨ニモマケズ

 あなたに代わって耐えしのんでいる家は、造られ方や経年の劣化により耐えきれない状況になっている場合もあります。ましてや昨今の異常気象によって、家にも過大なストレスが蓄積していることも考えられます。台風の時は、想定以上の雨量と強い風により、適切な雨水処理が行われず、日頃から弱点となっている箇所からの浸水や漏水が起きることがあり、日常の降雨では発覚しない弱点を見つけることができるかもしれません。浸水箇所や漏水箇所がないかを点検してみてはいかがでしょうか。

点検ポイント1;床下に雨水が入り込んでいいないか

 築年数の経った建物の場合には、床下にコンクリートが打たれていない「布基礎」が多く、そのような建物の外周部分の基礎の立ち上がりにある床下換気口から土砂と一緒に床下へ流れ込んでいるケースがあります。床下に入り込んだ雨水は流れでる水みちを探し、建物の真下の土をさらい、流れていくことになります。それによって基礎下の地盤が軟弱化したり、陥没を招くことがあります。床下の状況は普段なかなか見ることもないと思われますので、見えないところで知らないうちに地盤の劣化が進行しないよう、建物の外周基礎から内側への浸水がないかの確認はとても重要です。

 近年の建物だと床下もコンクリートが打たれた「ベタ基礎」が多くみられますが、建物の外周部分の地面の高さが、基礎の立ち上がり部分にある継ぎ目より高いと雨水が外から床下へと流入することがあります。しっかりとした施工がなされていれば、その継ぎ目には通常止水処理がなされるのでまず心配はありません。外周の外装材下端に近いところに地面があったり、1階の部屋の湿気を多く感じる場合には確認してみたほうが良いかもしれません。

 床下への浸水により床下の湿気が多くなり木材が水分を含み、不朽を招くだけでなく、シロアリなどの害虫やネズミなどの害獣を呼び込むきっかけをつくります。床下でカビが生えるだけでなく、室内の壁の内部や畳、押入れなどにもカビが発生しやすくなります。畳の部屋で就寝されている方は畳を上げて畳床が乾いた状態か確認してください。布団の中は暖かくなり室内と床下の温度差が生まれ床下の水分が多ければ容易に畳の中で結露を起こします。そのために畳にカビが発生しやすくなるのです。健康に害を及ぼすことへもつながるので注意が必要です。

 床下から壁内部へ湿気が上がってくると壁の内部での結露が起きやすくなり、内部の不朽が気がつかないうちに進行することがあります。室内壁にカビが生えやすい、クロスがめくれてきたなどの現象がある場合には、内部での不朽進行を疑い専門家への相談をお願いします。

点検ポイント2;屋根の勾配と雨仕舞い

 屋根の勾配は緩い建物ですか? 設計・施工基準やメーカーでは屋根の仕上げ材や葺き方で勾配が決まっています。しかし、緩い勾配での施工を推奨された屋根材であっても、屋根の面積や排水がスムーズに行われないと風雨により雨水が巻き上げられ滞留し、吹き上げて逆流し、建物内部へと浸水する可能性があります。屋根材だけでなく、屋根の端部の雨仕舞い、水返し、止水の処理が不十分な施工であるケースが見受けられます。

 風向きによっては勾配が不足し雨水が屋根の傾斜を逆流し、風とともに下から吹き上げることもあります。また、屋根面の改修で再塗装がされた家の場合、コロニアル葺きの瓦板の重なり部分を塗料で塞いでしまうと、瓦板の裏に廻った雨水が排水されずに滞留し、毛細管現象によって屋根内部へと浸水するケースも見受けられます。台風のような風雨の強まる時には屋根内部、小屋裏(天井裏)への浸水が増す可能性も考えられるので、専門家に屋根の劣化状況、雨仕舞いと合わせて小屋裏から漏水状況を確認してもらうのも良いかと思います。

点検ポイント3;雨樋の流れを改善

 ヨコ樋・・・樋の勾配が取りきれていなかったり、落ち葉などが樋の流れを妨げてスムーズでなくなっている場合には、土埃が流れ切らずに樋の底に堆積していきます。落ち葉除けのメッシュカバーなどもメッシュそのものが目詰まりし、土埃などの堆積を促していることもみかけます。ヨコ樋が歪んでいたり、外れていたりするところはないか、タテ樋とのつなぎは外れていないかを確認しましょう。ヨコ樋の土埃の堆積や目詰まりがあると、屋根の面積に合った樋の排水量を確保できなくなり、ヨコ樋の機能を果たさず、タテ樋に排水される前にあふれてしまいます。風が強まると溢れる雨水は水しぶきとなって軒先や建物へ吹き付けます。雨水の付着により、通常は濡れることのない軒先や軒裏や壁面に水分を誘引しやすい環境をつくり、建物が傷む要因ともなるのです。

 タテ樋・・・ヨコ樋に堆積物がない場合でも、たて樋に流された落ち葉や泥が管の下から堆積していることもあります。タテ樋から排水される雨水枡にゴミが堆積して流れを阻害していることも考えられますので、雨水枡を開けて堆積した泥をかき出し清掃する必要があります。

点検ポイント4;バルコニー・ベランダの排水

 手すりと外壁面の取り合い、手すりの支柱根元、床仕上材の劣化、排水口まわりの劣化と排水詰まり、オーバーフロー穴の有無などの状況を確認してみてください。バルコニーの真下にある部屋や屋外のバルコニー下の天井に水シミができていないか確認しましょう。手すりや手すり壁が外壁に交わる箇所の止水状況が悪いとそこから壁内部へ浸水することがあります。この部分からの浸水がバルコニーの下の部屋やバルコニー床下の天井部分に雨漏れや、バルコニーの手すり壁にクラックやコケが生え、劣化の原因であことが多くあります。床面の排水口が金物を使っている場合にも、床面と排水金物の取り合いの防水が劣化し、同様な雨漏れを起こすことがあります。床面の排水勾配がしっかりととられ、水たまりができたりしていないか、排水口に泥汚れが堆積し流れが悪くなっていないか確認しましょう。バルコニーの防水面である床材にひび割れや塗装の劣化などがないかも確認しましょう。

点検ポイント5;窓開口部周辺からの浸水

 窓開口部には窓の建具(サッシ建具)と枠(サッシ枠)があります。風雨が強まると窓には多量の雨が打ち付けその雨水は建具の納まるレールのついた下枠に溜まり、通常ならばそのまま排水されますが、台風の時には強い風により排水が妨げられ滞留することが考えられます。建具の枠(サッシ枠)は、縦枠と横枠が四方の枠に組まれていますが、縦枠と下枠(横枠)の継ぎ手部分が経年劣化により止水性が弱まり、滞留した雨水がその継ぎ手から浸水するケースもあります。通常の施工がなされていれば、そのサッシを納める開口部下端には水切りシート等の防水処理なされ、万が一の浸水があっても雨水を遮断する構造となっています。しかし、その水切りシートを入れずにサッシ枠をはめている現場を見かけることがあります。

 窓開口部周辺からの浸水、漏水はまず壁の内部で起きるので発覚には時間がかかります。外壁窓周りの四隅には揺れなどによりクラックが生じやすいのですが、浸水している場合には、そのクラックを助長拡大し、外装材が浮き始めます。そうなると、サッシ開口部からの浸水だけではなく、壁面に発生したクラックからの浸水も加勢し、壁内の被害の進行は早まることになるのです。サッシ建具の納まり、枠の歪み、窓開口部周辺のクラック状況、窓周辺の室内の壁仕上げ状況に変化はないかをご確認ください。

点検ポイント6;出窓屋根から響く異音

 この箇所は、音の問題についてです。出窓の上部から滴り落ちる雨雫が屋根に落ち「ポタッ…ポタッ…」「トン…トン…」「タタッ…タタッ…」といったような音を発することがあります。不定期な周期で音の大きさが異なる場合にはあまり気にならないようですが、定期的な周期で同じような音が持続すると気になり、不快に感じることがあります。気になり出したらもっと気にするようになるため、精神的な負担が増していきます。

 出窓の商品によっては屋根材の裏に緩衝材が貼られているものもありますが、ほとんどの場合には出窓の屋根材の裏には空洞があり、太鼓のように音が反響する状況を作ってしまっていることが多くあります。室内から壁を開口し、屋根下の空洞にグラスウールなどの吸音材を充填しても、異音の大きさが減少する程度で人によっては改善と受け取れないかもしれません。音の要因である雨雫が当たらないようにするか、雫が屋根面に当たる前に散らすなどの工夫が必要と考えます。

台風の前に点検確認、台風の後にも点検確認

 呉々も台風の最中に点検確認は避けましょう。特にハシゴや脚立などで高所の作業は、風雨が強まり、カッパや長靴などの雨具などの装着で通常より動きを制約され危険を伴います。足元の良い天候の時に事前に確認点検し、台風に備えましょう。台風の過ぎ去ったあとにも建物に変化がないか確認することをお勧めします。

 建物は、自分を守り強い雨や風の台風に耐えても「ここが痛い」とか「ここが壊れた」などと言葉を発してはくれません。でも、頑張って安心できる環境を守ってくれています。住む人から目を向けて労苦をねぎらい、メンテナンスすることが大切ではないかと考えます。

 屋根などの高所の点検は天候がよくとも危険を伴いますので、一人で行わないでください。脚立を支える人は慣れた専門家でも必要です。できれば、天井裏、床下などの点検と合わせて専門家に頼んでみてもらうことをお勧めいたします。

そんな時にも、あなたのサポートとしてP+(プラス)に声を掛けていただければ、点検のお手伝いでお役に立てることと思います。お気兼ねなく、ご連絡いただけることをお待ち申し上げます。

 

 

 

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